ハードボイルド第四条

他人を過信してはならない

人を信じるなと言っているんじゃない。

だが、人を信じることと、自分の責任を預けることは違う。

ここを間違える人間は多い。

家族だから大丈夫。

先輩だから大丈夫。

昔の相手だから大丈夫。

困っている人だから裏切らない。

そう思いたくなる気持ちは分かる。

だが、関係の近さは保証書じゃない。

俺は事件を見てきた。

名前を貸した人間。

口座を貸した人間。

契約を引き受けた人間。

情で断れず、気づけば自分の生活まで巻き込まれていた人間。

最初は誰も、そこまで悪くなると思っていない。

だから厄介なんだ。

他人を過信する人間は、相手の言葉を信じているようで、実は自分の願望を信じている。

この人なら大丈夫であってほしい。

この関係なら裏切られないはずだ。

そう思いたいだけの時がある。

だが、それはハードボイルドじゃない。

ハードボイルドな人間は、情と責任を分けて考える。

助ける時でも、渡していいものと渡してはいけないものを分ける。

名前、口座、契約、保証。

それは軽く差し出すものじゃない。

優しさを持つのはいい。

だが、優しさで自分の土台を崩すな。

覚えておくといい。

信じるなら、まず線を引け。

線を引けない信用は、ただの無防備だ。


関連事件ファイル