感情で判断してはならない
感情は悪いものじゃない。
人を助けたいと思うこと。
寂しさを埋めたいと思うこと。
怒ること。
悲しむこと。
どれも人間なら当然だ。
だが、感情が強すぎる時、人間は視野を失う。
見たいものだけを見る。
聞きたい言葉だけを拾う。
目の前の苦しさを消すことだけに夢中になる。
俺は事件を見てきた。
かわいそうで断れなかった人間。
子どものためだと思い込んで急いだ人間。
善意のつもりで、自分の暮らしまで削った人間。
その気持ちが嘘だったとは思わない。
むしろ本物だった。
だからこそ危ない。
感情で判断する人間は、自分が正しいことをしていると思い込みやすい。
助けたい。
守りたい。
救いたい。
その言葉は綺麗だ。
だが、綺麗な言葉ほど現実の計算を曇らせる。
それはハードボイルドじゃない。
ハードボイルドな人間は、感情を消さない。
ただ、感情だけで決めない。
助けたいなら、助け切れるかを考える。
守りたいなら、誰を一番に守るべきかを間違えない。
焦っている時ほど、一度立ち止まる。
情が動いた時ほど、条件を見る。
冷たいように見えるかもしれない。
だが本当に守るには、冷静さがいる。
覚えておくといい。
感情は火だ。
暖めることもあるが、近づきすぎれば暮らしごと焼く。