ハードボイルド第三条

問題を放置してはならない

問題ってやつは、放っておけば消えるように見える。

見ないふりをしている間だけは静かだ。

封筒を開けなければ請求は存在しない気がする。

電話に出なければ責任は遠ざかった気がする。

話し合わなければ揉めずに済む気がする。

だが、それは気がするだけだ。

俺は事件を見てきた。

小さな不足を隠し続けた人間。

払われない金をそのままにした人間。

家の中の違和感を黙って飲み込んだ人間。

どれも最初から大事件だったわけじゃない。

最初は小さなひびだった。

だが放置されたひびは、いつか壁を割る。

問題を寝かせる人間は、未来の自分に面倒を押しつけているだけだ。

今の自分は少し楽になる。

だが未来の自分は、その利息まで払うことになる。

それはハードボイルドじゃない。

ハードボイルドな人間は、嫌なものほど先に見る。

面倒な連絡ほど早く入れる。

言いにくい話ほど、まだ小さいうちに口にする。

格好は悪い。

気分も良くない。

だが、問題を片づける人間は、だいたいそうやって傷を浅くしている。

強い人間とは、問題がない人間じゃない。

問題を見つけた時に、逃げずに向き合える人間のことだ。

覚えておくといい。

問題は腐る。

放っておけば、必ず臭いを出す。


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