欲望に振り回されてはならない
欲望ってやつは、最初から悪い顔をして近づいてくるわけじゃない。
少し楽しいだけだ。
少し満たされるだけだ。
少し寂しさが埋まるだけだ。
だから人間は油断する。
これくらいなら大丈夫だと思う。
一度だけなら問題ないと思う。
誰にも迷惑をかけていないと思い込む。
だが、欲望は一度満たすと、次の理由を探し始める。
俺は事件を見てきた。
退屈から始まった関係。
寂しさをごまかすための火遊び。
若さや承認を確かめたくて踏み込んだ場所。
どれも最初は小さかった。
だが、小さいからこそ止まれなかった。
欲望に振り回される人間は、自分の都合を愛や息抜きや癒やしに言い換える。
その言い換えが始まったら危ない。
ハードボイルドじゃない。
ハードボイルドな人間は、欲しいものを全部取りに行かない。
欲しいものがあっても、守るべきものを先に見る。
一時の快楽で信用を失わない。
寂しさで筋を曲げない。
誰かに優しくされたからといって、自分の責任を忘れない。
欲望を消す必要はない。
人間だから欲はある。
だが、欲望にハンドルを握らせるな。
覚えておくといい。
一番高くつくのは、たいてい「少しだけ」のつもりで始めたことだ。